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BASICだけで悪魔召喚プログラムを組むメガテン随一の天才。いじめられっ子のため一歩間違えればハザマになっていたかもしれない人物。 -- (名無しさん) 2012-12-13 02 44 37
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ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/266.html#id_542badf7 たとえば、#news(ゲーム)と入力すると以下のように表示されます。 桜井氏、2人専用ゲームに「ひとりでできなくもない…かも?」―『It Takes Two』ソロプレイを紹介するも、常人には難しすぎる… - インサイド 【NEOWIZ プレスリリース】新作モバイルゲーム『プリミティブウォー』ゲーム動画初公開 - PR TIMES 木村拓哉の新作専用謎解きゲーム始動 NAZOxNAZO劇団監修 - 中日新聞 Switchのインディーゲームが安い! 任天堂の「Indie World セール」 - マイナビニュース 犬撮影ゲーム『Pupperazzi』2022年1月20日に配信へ。犬まみれの島で、ひたすら犬を愛でて写真を撮ってはSNSにアップ - AUTOMATON 新作スマートフォンゲーム『カイジ -闇の黙示録-』 コラボレーションアーティスト情報解禁! - PR TIMES 今週発売の新作ゲーム『Among Us Crewmate Edition』『FINAL FANTASY VII REMAKE INTERGRADE』『ロードス島戦記-ディードリット・イン・ワンダーラビリンス-』他 - インサイド 「GRANBLUE FANTASY Relink」、最新のゲーム映像公開! - GAME Watch Google、Windows版「Google Playゲーム」アプリを2022年に提供へ - ITmedia NEWS 今週発売のゲームソフト一覧。『Among Us クルーメイトエディション』『PUI PUI モルカー Let’s!モルカーパーティー!』などが発売【2021年12月13日~12月19日】 - ファミ通.com 損保ジャパンがオリジナルのSDGsカードゲームを制作 | JDIR - JBpress Ryzen搭載UMPC「GPD WIN Max 2021」をレビュー。高品質ゲームパッドや8コアの高い性能がウリ - PC Watch 【経済インサイド】ゲーム市場、半導体不足で主役不在のクリスマス - 産経ニュース ネットフリックスによるゲーム配信が成長をもたらさない理由 隣接戦略を成功に導くための条件 | HBR.org翻訳マネジメント記事(1/2) - DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー 横浜流星&佐野勇斗、映画『嘘喰い』デス・ゲームに興じるヤバいやつら - 中日新聞 『カレイジアスペルセウス』(MSX版)がレトロゲーム遊び放題アプリ“PicoPico”に追加。12月15日正午まで体験プレイも可能 - ファミ通.com ゲームの中から出てきたみたい! 粘土で作った実寸大ポケモン「ナエトル」がすごいクオリティー(ねとらぼ) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース C大阪敗退で、大久保ラストゲーム「苦しくもあり、楽しくもあった」 - 産経ニュース スペインで放送されていた「ミスター味っ子」が影響!?日本大好きなスペインのゲーム開発者インタビューで飛び出した意外な裏話(Game Spark) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース このキアヌ……CG? 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その七 合宿その後 【投稿日 2006/02/12】 カテゴリー-4月号予想 (あやしい) 大野はあごに手をあてながら思う。合宿直後、けっこういいムードになっていた笹原と荻上。 しかし、今の二人はと言うと、 荻上をちらちらと見ながら漫画を読む笹原 笹原を意識的に無視してイラストを描く荻上 という、まるで夏コミ前の様子だった。 「いったいどうしたんでしょうね?あの二人」 大野の突然の囁きに驚きながら、咲は読んでいた漫画から目線を上げて二人を見て、囁き返す。 「あんなもんだろ、あの二人なら。いきなりベタつきだしたらその方が変だって」 「でも…」 「なら直接聞いてみれば?」 「そうですね…」 「ねえ、荻上さん?これから時間あいてます?」 (決断早っ!)咲の驚きをよそに荻上に話し掛ける。 「あいてますけど」「じゃあ大事な話があるので来てもらえます?」「ここじゃできないんですか?」 「はい、できません」「…いったい何をたくらんで…」「いやですねえ、そんなことしませんよ?」 あとはいつもどおり。押せ押せに荻上は屈し、気が付けば大野の部屋に連れ込まれていた。 テーブルで向かい合う二人。その前にはなぜか缶ビール。 「なんでビールなんですか?」 「あれ?ワインとかのほうが良かったですか?」 「そうじゃなくて!」 「まあまあ、そう言わずに…はい、ちゃんと持って…かんぱーい!!…ノリが悪いですよ、荻上さん」 「帰ります」 「そういわず一口でも飲んでいってください~。口を開けちゃっているんですから~」 すでに二本目を開けている大野にあきれながら、口をつける。 「あ、おいしい」 「そうでしょ~、某所の地ビールなんですけど…」 大野の満面の笑みに押されながら、もう一口。 「これはどうです?」「こっちは?」「こういうのもあるんですけど」 気が付けば回りは空き缶が多数転がり、据わった目の荻上が大野の作った水割りをなめている状況 だった。 「…それで、笹原さんをうちに呼んだんです」 「ほうほう、それで?」 一方、大野は顔こそ赤くしているが、ほとんど変化が無い。 「…最初に中学の頃に作ったやつを見せたんです…捨てたくても捨てられなかった、あの…」 「それで?」 内罰モードに入りかける荻上を引き戻す。 「…受け入れて、くれました。…それで、今まで書き溜めた分を見せる事にしたんです…」 「…最初は笑って見てました…でも、だんだん真顔になってきて…怖くて、見ていられなくなって…」 「…部屋を出ようとしたんです…そしたら手をつかまれて…最後までいてくれ、って…」 「…ずいぶん長い間かかったと…最後の一冊を読み終わって、笹原さんが言ったんです…」 水割りをなめながら、荻上の独白は続く。 大野は内容よりも、どんどん濃い水割りを要求する荻上の体の方が心配になってきた。 「…笹原さんは言ったんです…『うん、読んだ。それで?』って…酷いと思いません!?こっちが聞きたいのに!!…」 「…そしたら、笹原さんは…『俺だって荻上さんでいやらしい妄想をしたことある。最低だと思う。』」 「…『でも、妄想は誰にも止められないし…俺と荻上さんの違いは、それを表現する能力があるか、無いかでしかなくて…ああ、くそ。そんな事を言いたいんじゃなくて』…」 「…『俺は、こんな妄想をして、絵に描いてしまう、荻上さんが、好きです』…」 「…そう言ってくれたんです…」 「よかったじゃないですか!」 大野は心からの祝福を送る。ついでに笹原の評価を少し上げた。 棚からとっておきのブランデーを引っ張り出すと、新たなグラスに注ぐ。 「それでなんて答えたんです?」 「…私も笹原さんが好きだ、って…」 「それで?」 「…そしたら、笹原さんが夏コミで見せたような、本当にうれしそうな顔をして…」 「ほうほう?」 「…私を…抱きしめて…くれたんです…」 「それからどうしたの?」 (いくら酔っていたとしても、ここまでばらされた以上最後まで聞く義務がある。理論武装終了) 大野の追及は続く。 「…そしたら、押し倒されて…」「ベッドに?」「…いえ、床に…」「なんて大胆な!」「…体ぶつけたらしくて、痛かったし、重かったし…驚いたし、怖かったけど…少し嬉しくて…」「ほほう!」 ひたすら盛り上がる大野。しかし荻上はじっとグラスを見つめている。持つ手にも力が入りだす。 「…じっと目を閉じて待ってたんです…でも、何もされなくて…不安になって目を開けたら…」 「目を開けたら?」 さすがに大野も変化に気がつく。荻上のグラスの酒に波紋が起こる。押し寄せる不安。 「…笹原さん…寝てました…」 (あ の ヘ タ レ が ~ ! ! !) 大野の心に馬鹿な上官の所為で作戦を台無しにされた某指揮官の叫びに似た声が響き渡る。 笹原の評価は地に落ちた。地に落ち、踏みにじられ、消し飛ばされた。 「え~と、荻上さん?」 心の中で笹原を虐殺しながら、話し掛ける。 「…あの日、私は、年末並みの大掃除をして…三回もシャワーあびて…秘蔵の下着なんかつけて…服なんか半日もかけて選んだんですよ?…化粧だってしたのに…」 「あの~、荻上さ~ん」 「…ぐーすかぐーすか、人の上で…寝顔はかわいかったけど…違うさ!!」 「荻上さん!」 大野の声に荻上は顔を上げる。目線が大野の顔から下がって止まる。胸だった。 「んなに、おらにおんなのみりょぐがねえがーーーー!!!」 立ち上がって叫ぶと、一息にグラスをあおる。そして…ばったりと倒れたのだった。 その後。 大野は荻上を吐かせた後、服を脱がして洗濯機にいれ、丁寧に体を拭き、田中謹製の「蓮子ちゃんパジャマ」を着せると、ダブルのベッドに寝せた。 まだ怒っているのか、それとも苦しいのか、荻上の眉間にしわがよっている。 その隣に入り頭をなでてやる。次第にこわばりもきえ、穏やかな寝息を立てだした。 (全く、手のかかる人ですねえ) まどろみのなかで思う。いつの間にか自分の腕をだいて寝ている荻上に微笑む。 (いずれにせよ、笹原さんにはお仕置きが必要ですね) 一瞬邪悪な笑みを浮かべると、大野も眠りに落ちた。 おまけ。 ①【荻上入室禁止】と書かれた張り紙のされた現視研部室。 ②大野の説教。(無音) ③恵子のあざけりと、咲の忠告。(無音) ④部室の床に正座している笹原。「わかりましたか?」「はい」という応答 モノローグで「なんで?」
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君という花 【投稿日 2006/02/21】 カテゴリー-現視研の日常 「荻上さんも、珍しくスカートですなぁ……」 今日は斑目たちの卒業式、打ち上げ。 斑目と笹原がテレパシーで会話しつつ、二人して 咲と荻上を見ていたのではない。 斑目は咲を見て悶々とし、笹原は荻上を見てたかぶっていた。 大野の「天罰ですね!」のあとも、今宵の宴は長丁場だ。 ガックリくるものの、大野の喜びに気圧されて落ち込み切れない 田中を巻き込んでクッチーがテンションを上げていく。 「さあ!くじびきアンバランスでも皆すぁんで合唱しましょうッ!」 「ばか、よせ!!」 「現視研、春から大丈夫かな~(汗)」 「焼酎ロック…いえ、ボトルでくださーい」 斑目がトイレに立って、笹原からは座布団の向こうに荻上が見える。 『今日はなんだか、女の子として意識しちゃうな…どうしたんだろ、酔ってるのかな』 笹原がドキドキしているのは酒のせいか、恋心か、欲情か。 スカート履いただけでこんなに効果があるとしたら、これ以上のものを 見たとしたら笹原は死ぬんじゃないだろうか。 「ん…ちょっとラフレシアを摘みに」 その時、荻上がテーブルに手を着いて、膝をこちらに捻って 片膝立ちになり、立ち上がった。 パンストは履いていないので、膝の白い肌が笹原の目に痛い。 視界の端でだが、意識を集中してしまう。 女の子としての動作はもちろん身についているが、 普段ズボンしか履かないということもあってか、なんと一瞬だが 笹原には、荻上の東北美人らしい色白な太ももの広がりの、さらに奥に 小さな黒い布地を見てしまった。 『えっ!?うわっ………!!!!!』 パニック。思考停止。 みるみるうちに顔が真っ赤になる。 荻上は正面を向いていたので笹原の変化には気付かなかった。 笹原はジョッキを持ったまま固まっている。 そこへ戻ってきた斑目が声を掛ける。 「おまっとさん。ん?笹原、大丈夫かおめー?」 「え…?? な、何がデスカ?」 「なんかお前、顔がすごい赤いぞ」 「マジですか? えーと、えーと、飲み過ぎましたかね?ハハハハ」 なんとか誤魔化す笹原だった。 そこへ向こう側の咲が声を掛けてくる。 「斑目ー、とりあえずおめでとさん。こっち座りなよ。乾杯しよ」 「いっ?あ、俺、卒業だった」 「何言ってんのよ~。酔っ払い過ぎじゃないの?」 そして荻上が座っていた座布団に斑目が座る。 斑目と荻上の取り皿や箸、グラスは場所を交換になった。 そこへ戻ってくる荻上。 「あ。こっちになったんですね」 「うん、お皿とかグラスは移してるからね」 荻上の顔は見ずに話しかける笹原。 料理を取り分けながらなので余り不自然ではないが…。 『荻上さん…今日の下着は黒いのか……いや、考えるな俺!』 その脳内は大変な葛藤だった。 とりあえず笹原は手にしたジョッキを一気に空けた。 荻上としても、この時点では現視研内でまともに話をするのは 咲と笹原ぐらいで、移動は問題なかったので素直に横に座った。 「なんか今日で四年生の人達が去っちゃうなんて実感わきませんね」 「んー、そうだね」 などと会話をしながらも、意外としっかりした荻上のふくらはぎが 笹原の精神を侵食してくる。 「あ、次の飲み物、何か頼みますか?」 「生中で頼むよ。あ、いやもう、生大でいいや」 「え?良いんですか?」 「うん、今日は飲みたい気分でね」 「笹原さんにとっては特に思い出深い先輩方ですもんね」 再び、オーダーを頼みにちょっと立つ荻上。 笹原は本能的に荻上の足に目が行くのを強固な克己心で抑えた。 笹原はその晩、今までの人生で最大量のビールを呑んだ。 居酒屋の帰り道、千鳥足の笹原に斑目が肩を貸す。 「おいおい、卒業生と在校生が逆じゃねーの、これって(苦笑)」 「やー、斑目さんが近くで、俺、嬉しいっすよー」 そんな様子を見ながら少し後ろを歩く女性陣。 咲は少し身震いをした。 「うー、まだまだ夜風が寒いねぇ。オギーもスカート大丈夫?」 「……えっ?あ、はい」 「どうしたの?オギーも酔った?」 「いえいえ、大丈夫です!」 「寒いネェってさ。東北育ちだから大丈夫?スカート珍しいから」 「あー、これはですね……下に、中学の時のブルマ、履いてるんですよ」 小声で答えた荻上だが、その言葉は笹原のハンター化した耳に しっかりと届いた。 『あの黒いのはブルマだったのか……でも中学の時のって……』 ドキドキドキドキ 『それはそれで、ありだな!!』 中学生の荻上の体操服姿を思い浮かべる笹原。 「おいおい、笹原。もうちょっとしっかり歩けよ」 「ああっ、すみません」 斑目に注意を受けて我に返る。 その頃、荻上は笹×斑の妄想がフル稼働中だった。 『うわー、弱った攻めを介抱する受けってのも、アリだなぁ』 今夜の様子でまたイラストが増産されることだろう。 こんな笹荻二人の物語が、春から始まるのだった―――。 お似合いの二人なのだが、本当の春はまだまだ遠い。 真のタイトル ぶるまつり
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百合の花が咲く 【投稿日 2006/03/11】 カテゴリー-現視研の日常 「ちーす。お、荻上一人か?」 咲が部室に入ると、部室には荻上一人だけだった。荻上はいつものように、原稿を描いていた。 「なーに描いてんの? …って、またやおいとかいうヤツでしょ?」 「違います。今回はきちんと男と女でノーマルです」 「へぇ」 咲は荻上の後ろから原稿を覗き込む。 「…け、結構激しいデスネ」 「そうですか?」 荻上は気にすることなくペンを進める。見られるのが嫌だった原稿も、今では嫌じゃなくなった。もっとも、やおいは男子には見せないが…。 咲もじっと原稿を見ていた。最初の内は嫌がっていたのに、今ではこうやって普通に見せてくれる。そのことが咲にはとても嬉しかった。 「……あの、さすがにそんな見られると描きにくいんですけど…」 荻上が振り向くと、咲は疑問を口にした。 「ねぇ、こういうのってさ、経験が無くても描けるもんなの?」 「!? な、なななな何を…」 「いや、前から気になっててさ」 「そ、そんなの、同人誌を見てれば分かりますっ」 「……それは違うと思うぞ」 咲は少し考えると、荻上の肩に手を置いた。 「…じゃあさ、私が教えてあげよっか?」 「は?」 咲はそう言うと、荻上の頬に手を添え、唇を重ねた。 「!!!?」 あまりにも突然のことに、荻上は目を白黒させる。 「ふふっ、かわいーね、荻上」 咲は悪戯っぽく微笑む。そしてまた唇を重ね、頬、耳、首筋へと舌を這わせた。 「やめ…んっ! 女同士で、こんな…あっ!」 「こういうの、百合って言うんでしょ? 高坂の部屋にもあったよ」 「だっ…誰かが…入って…んぅ! きちゃいますよ…あんっ!」 「大丈夫。鍵かけといたから」 「そん…」 「かわいーよ、荻上…」 「やぁ…っ! そん…なところぉ…ふぁあっ!」 「ど、ど、どうかな?」 久我山は部室で斑目と笹原にノートに描いた作品を見せていた。内容は咲×荻という百合ものになっている。 「いいぞ! 久我山、いいぞ! 見直した!」 「ホント凄いですね。俺、百合はあんまり得意じゃないんですけど、これだったら…」 正直な感想を言う斑目と笹原。しかし心の中では。 (か、春日部さん…ハァハァ) (お、荻上さんがこんなに乱れて…ハァハァ) しかし三人は気が付かなかった。背後に迫る咲の存在に…。 「よし。お前ら表に出ろ。久しぶりに…キレちまった」 完
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事後 【投稿日 2006/02/26】 カテゴリー-笹荻 目が醒めた。見慣れない天井が視界に飛び込んでくる ズキッ・・・! 「うっ・・・」 右肩が痛い。ついでに言えば右腕にザリザリとしたものが乗っている。 痛みの方向に顔を向けると、笹原を腕枕に荻上がクゥークゥーと穏やかな寝息を立てながら寝ていた。 彼女は今、髪を下ろし、生まれたままの姿でいる(無論笹原もだが) --あぁ、そうか。オレ、ヤっちゃったんだな。 笹原は荻上との行為を思い返す。 とにかく夢中だった。 ヤるたびにどんどん自分ももちろんだが、荻上さんも良くなってきたらしく・・・ 5回目から先はもう覚えていない。いつの間にか寝入っていたようだ。 自分でもよくここまで攻めたものだと思う。 時計を探してみたが、暗くてよくわからない。だいぶ時間が過ぎているようだ。 日はもうすでに落ちている。 再び時刻を確かめようと時計を探すが、荻上を腕枕した状態ではなかなか難しい。 --確か、脱いだ衣服はベッドの下に投げ捨てたんだっけ・・・ ズボンの中に携帯電話がある。 ベッドの下に目を向けると、少し遠いが身体をずらして手を伸ばせば届く距離にある。 笹原がベッドの下にある自分の衣服から携帯電話を取ろうと、身体を捻-- 「んっ・・・」 ろうとしたら、荻上がそれを許さない、というようにギュッと笹原の身体に密着するよう抱きついてきた。 「荻上さん?」 起きているのか? と思ったが 「スゥ・・・スゥ・・・」 寝ているようだった。どうやら無意識下にいても、今は一時一寸たりとも離れたくないらしい。 --オレもだけどね 笹原は密着してきた荻上をやさしく包み込むように抱いてやる。 腕枕していた右腕は頭を。残っていた左腕は彼女の背中に回してやる。 胸に当たる荻上の寝息がくすぐったかった。 だが、ものすごく心地よかった。。・・・ついでに言えば、笹原の胸から腹にかけての部分に当たっている彼女の柔和な胸も心地よかった。 「・・・荻上さん。胸、当たってるんだけど」 某漫画の笹原は台詞を吐いてみる。 「・・・あててんのヨ・・・くぅ~・・・」 荻上も寝ぼけながら答える。 「ははっ・・・」 --時間なんて気にしたらもったいないな。すごく幸せだし 笹原は荻上の寝顔を見ながらそう思った。 やがて、笹原も再びまどろみの中へと落ちていった。 できたばかりの最愛の人を抱き枕にしながら。 --時間なんて気にしなくていいか。すごく幸せだから end-
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テーブルの距離 【投稿日 2006/02/01】 カテゴリー-笹荻 笹荻成立後の話。 二人が付き合い始めて少しした頃。 その日、笹原はもう何度目かになる荻上の部屋へ訪れていた。 「あ、どうぞその辺に座って下さい」 「うん。あ、これ来る途中で買ってきたんだけど」 そう言ってコンビニの袋に入った飲み物を取り出す。それと菓子類がいくつか。 「すみません、わざわざ」 「いやぁ、事前にメールで何かいるものがあるか聞いても良かったんだけどね。あ、荻上さんも座ったら?」 落ち着かない様子で空いた袋などを片付けている荻上へ促すと、 「は、はい」と躊躇いがちに笹原の斜め向かいへ腰を下ろした。 真正面でも隣でもない、二人の今の関係を象徴するかのような微妙な位置。 そう、二人は付き合うようになったものの、荻上のその雰囲気は今までとあまり変わらぬぎごちないものだった。 以前のように笹原を拒絶するようなことはないが、距離が縮まったとも言えない態度。 そんな荻上の行動を見てふと考え込む笹原。 (確かに付き合い始めたけど、やっぱりまだ遠慮というか、……警戒されてるのかな) 「……あの、どうかしましたか?」 その様子に気付いて、不安そうに荻上が訊ねる。視線を受け、 自分がやや険しい顔をしていたことに気が付いた笹原は、軽く笑顔を浮かべて答えた。 「ん? ああ、いや。うん、大したことじゃないよ」 そのまま少し黙り込んだかと思うと、おもむろに荻上を見て「そっち、行ってもいいかな」と立ち上がった。 「え? え?」 訳も分からず狼狽する荻上を気にした風も無く、テーブルを回り込んで笹原は荻上の後ろに立つと、 そのまま真後ろに座った。 「ちょっとごめんね」 「あ、あの……、笹原さん?」 赤面しながら慌てて振り返ると、思ったよりずっと笹原が近くにいて、荻上は急いで前を向く。 (うわ! うわ! 近ぇ!! って、笹原さん、一体何で突然そんな……) あらぬ妄想が頭をよぎり、思わず肩に力が入ってしまう。それに気付いた笹原は、慌てて言い訳をした。 「あ、いや、別にそんな、……やましいことをしようという訳じゃなくて」 そう言いながらも、「そう思われてもしようがないよなぁ、と言うか実際したいし」などと考えているが、 それは口に出さず言葉を続けた。 「その、練習をしようと思って」 「練習?」 聞き返しながら振り返ろうとするが、はっと気付いてまた前を向く。 その様子を微笑ましく思いながら、笹原は荻上を抱えるように手を伸ばした。 「あっ、あの! さ、笹原さん!?」 耳まで真っ赤にして体を強張らせる荻上、しかし抵抗する様子はない。 「あ、ごめん。嫌だった?」 急ぎすぎたか、と思い謝って離そうとする笹原に、荻上は首を微かに振った。 「……別に、嫌じゃないデス」 あくまでそっぽを向いたままそう答える荻上の姿に、 思わず笑みをこぼしながら笹原はほっとして言った。 「そ、そう? それならいいんだけど」 そして少しの沈黙。ほとんど密着している所為か、お互いの体温を衣服越しに感じる。 これでそれぞれの位置が逆ならば、「当ててんのよ」ということにもなるだろうか。 (それにしても、荻上さん、いい匂いだな……。うちの妹とは大違いだ) 初めて身近で感じる異性の匂いに、思わず「ワープ」する笹原。心なしか鼻息が荒くなっている。 すぐ後ろにいる笹原の吐息が首もとに当たってこそばゆいので、気を紛らわす意味も兼ねて荻上は先程の質問を繰り返した。 「それで、練習ってどういうことなんですか?」 「へ? あ、ああ、うん。練習ね」 ようやく現実に戻ってきた笹原は、落ち着くために小さく咳払いをした。 そして考えていたことを真剣に伝える。 「えっと、単刀直入に言えば距離感と言うか、人と関わる練習、かな」 「?」 不思議そうに小首を傾げる荻上に、笹原は言葉を続けた。 「俺、今まで女の子と付き合ったことなんてないから、どう接していいかいまいちよく分からなくてさ。 出来れば、その、もう少しお互いに遠慮しないで話が出来るような関係になれればいいな、と思って。 そういう意味で、練習と言うか、少しずつお互いを知っていく、みたいな」 「……はあ」 「いや、座る位置を変えたのはね? その、向かい合って話すと照れちゃうし、 隣同士で目を合わせず話すのもあれかな、と思って。この体勢だと、 お互い顔を合わせなくても相手を感じていられるからで、って別にそんな変な意味じゃなくて」 荻上の反応が薄いためか、言い訳じみた説明を必死に捲し立てる笹原。 しかし、言葉にすればするほど本来の気持ちから遠ざかっているような気がして段々と不安になってくる。 (いかんいかん。落ち着け、俺) 小さく息を吸って無理矢理気持ちを落ち着けると、笹原は仕切り直すように言った。 「その、荻上さんが不安になったり、遠慮しないでいいように、俺のことを知って欲しいし、 荻上さんのことをもっと知りたい。って、ダメかな?」 笹原の問いかけに、小さく荻上が首を振る。 「ダメじゃ、ないです。私も、笹原さんのこと、もっと知りたいですから…」 俯いたままの小さな呟き。 しかし、笹原の耳にはしっかりと届き、それが耳から脳に達した瞬間、心拍数が一気に跳ね上がった。 (え? 何? これって、もしかして「そういうこと」?) 一方的な勘違いにより理性のタガが外れそうになる寸前、荻上の言葉が笹原を正気に戻した。 「あの……」 「ん?」 我に返った笹原は、自制を失っていたことを悟られないよう出来るだけさりげなく返事をした。 しばらく躊躇った後、髪に隠れていても分かるほど耳を真っ赤に染めながら荻上が訊ねる。 「……笹原さんは、その、こんな私の一体どこを、……好き、になったんですか」 最後の方はほとんど消え入るような声で呟いた。荻上の背中から感じる体温が少し上がったような気がする。 それだけ切実な問いということなのだろう。 それを感じ取った笹原は、ゆっくりと言葉を選びながら答えた。 「んー……、そうだね。感情を言葉にするのは中々難しいけど、それでもいいなら」 「はい」 こくりと頷く。握りしめた手の平に汗が滲んだ。 (我ながらホント図々しい質問だぁ) 穴があったら飛び降りて、いや、飛び込んで消えてしまいたいと思う。しかし、荻上にとってはどうしても聞いておきたいことだった。 自分で自分が認められない。それなのに、そんな自分を受け入れてくれる。 その気持ちはすごく有り難いと思うし、信じたい。 だけど、自分を否定しているためにどうしても認められない。 そのために、どうしても今でも笹原に対して一歩距離を置いてしまう。 このままではいけないと分かっているのに。 (笹原さんも距離感の練習って言ってた。私も、近づく練習をしないと) そんな荻上の思いに応えるように、笹原はようやくまとまった思いを口にした。 「…俺が荻上さんを好きなのは、いつも一生懸命で、時々暴走しちゃうこともあるけど、でも実は割と周りに気を遣ってもいて、そういう不器用だけど、一途で、……優しいとこかな」 「…………」 笹原の言葉は確かに荻上に聞こえていた。その証拠に何度も頭の中で反芻している。 (優しい? 今、優しいって言った? 私が? 笹原さん、一体誰のことを言ってんだろ) 意外な言葉に動揺を隠せない荻上。そして笹原もまた、何の反応も示さない荻上を見て戸惑っていた。 (あれ? 俺、今まずいこと言ったかな) そうした突如訪れた気まずい雰囲気の中、何かを堪えるように荻上は口を開いた。 「一つ、聞きたいんですが」 「何?」 「……優しいって、私がですか?」 「う、うん。そうだけど」 その答えで堰が切れた。 「前にも言いましたよね」 出来るだけ低く抑えていたトーンが徐々に上擦っていく。 自分が感情に飲まれていくのが分かる。けれど止められない。 「私は、前に笹原さんに言ったとおり、人を傷つけて……、 それでも自分の欲望のために同じことをやめられずに繰り返している! そんな人間なんですよ!? それのどこが……」 ダメだ、と思った。こんなこと言いたくない、と。 けれど、一度頭に上った血はそう簡単に抑えられるはずもなく。 「そんな人間のどこが優しいって言うんですか!!」 気が付けば、俯いたまま爆発していた。わなわなと震える細い肩。 (私、また……) 自己嫌悪に苛まされる。笹原の見ている自分と、自分の思う自分との乖離。 そのギャップに寂しさと不安と怒りが入り交じった、例えようのないほどのどす黒い感情が渦を巻く。 高ぶった思いがそのまま涙へ変わろうとした時、後ろから回されていた笹原の手に、そっと力が込められた。 「ごめん、上手く伝えられなくて」 同時に耳元で聞こえる、少し不安そうな優しい声。 ただそれだけで、自分でも驚くほど気持ちが落ち着くのを感じた。 (……笹原さんはずるい) そう思いつつも、笹原の手にそっと触れてみる。顔は見えなくても、確かにそこにいるという実感。 笹原が最初に言ったことが何となく分かる気がした。 軽く息を吐いて顔を上げる。 「私の方こそすみません。自分で聞いておきながら、取り乱してしまって」 素直に謝る。そうすることで、心が軽くなるのを感じて少し戸惑った。 「あぁ、うん。…まぁ、それは俺の所為でもあるし、気にしないで」 先程より少し離れた位置から笹原の声が聞こえる。 「ただ、俺はやっぱり荻上さんは優しいと思うよ」 自分を責め、嫌ったままの荻上。 そんなことを放っておくことは出来ず、笹原は再び同じ主張を繰り返した。 自分の好きになった人の良いところを、好きだからこそ、その本人に一番分かってもらいたい。そう考えて。 「……それは、どうしてですか?」 今度は冷静に聞き返すことが出来た。 そのことに笹原も安堵し、荻上の肩越しに様子を窺いながら慎重に口を開いた。 「過去のことは、もう起きてしまったことだし、俺は何も言えないし言わない。 けど、荻上さんはずっとそのことを悔いて、人を傷つけたくないって思ってきたんだよね? そういうのって、……やっぱり俺は優しさだと思うんだ」 笹原の言葉が胸に響く。 けれど、長い間刻まれ続けた心の傷はそう簡単に消えるはずもなく、どうしても素直に受け止めることが出来ない。 「でもっ、やっぱり、また描いてしまってるわけですし……」 そう言ってまた項垂れる荻上に、笹原は諦めず言葉をかける。 「うん、だけど前にも言ったよね。妄想は誰にも止められないって。 それに、今回のは俺が何も言わなかったら、誰にも知られずに済んだわけだし、 荻上さんは人を傷つけたくて描いたわけでもないんだし」 笹原の言葉を荻上はただ黙って聞いている。 「だから、気にしないでとは言わないけど」 「………………」 「そんなに、自分を責めないで」 涙が溢れたのは、笹原の声が優しかったからか。 それとも、それがずっと聞きたかったと望んでいた言葉だったからか。 笹原の腕に手を重ねたまま、静かに荻上は泣いた。その涙は決して悲しさから来るものではなく、 どちらかと言えば久しく味わったことのない、暖かさから来るものだった。 そのまま少しの間、荻上は泣き続けた。やがてその泣き声が小さく治まった頃、笹原はそっと声を掛けた。 「大丈夫?」 「……すみません、何かいつもこんなとこばかり見せて」 まだ少し鼻声のまま答えると、荻上は何かをきょろきょろと探し始めた。 「?」 「あ、あの。ちょっといいですか?」 そう言うと、笹原の腕をそっと外して立ち上がる。 「すみません、すぐ戻りますんで」 そのままそそくさと部屋を出る。笹原は少しぽかんとした後、「ああ」と頷いた。どうやら荻上は洗面所へ向かったらしい。女として泣いた後というのは色々と気になるものなのだろう。 笹原は何となく息を吐くと、買ってきた飲み物が袋から取り出してそのままになっていることに気が付いた。 (コップとか、…いるかな) 自分の分はそのままでいいやと目に付いた一本を手に取る。 蓋を開けて喉に流し込むと、生き返ったような心地がした。 (もっとしっかりしないとな) 一息ついて落ち着いたのか、冷静に自分に言い聞かせる。 何となく、飲み慣れた缶コーヒーがいつもより甘い気がした。 (ブラックにすれば良かった) そんな事を考えているうち、荻上が戻ってきた。 目元にまだ少し赤みが窺えるが、黙っていれば分からない程度だ。 「おかえり、荻上さんも何か飲まない? もうぬるくなってるけど」 努めて明るく声を掛けると、荻上は「あ、じゃあ私、コップ取ってきます」と再び部屋を出ていった。 コップを持って戻ってきた荻上は、何か迷っているような様子でテーブルと笹原の間をちらちらと見回した。 「どうしたの?」 笹原が訊ねると、「あ、いえ」と口ごもってまだ何かを躊躇っている。 不思議そうな顔で見守っていると、荻上は笹原の隣に歩み寄り、 「失礼します!」とやたら気合いの入った声で断ったかと思うと、そのまま腰を下ろした。 恥ずかしさの所為か、首もとまで真っ赤になっている。 一瞬呆気に取られた後、笹原は荻上の行動の意味を知って赤面した。 触れ合うほどの距離ではないにしろ、確かに隣に彼女がいる。 ついさっきまでは斜め向かいに座ろうとした彼女が。 口にするとせっかくの空気が壊れそうなので、意識して全然関係ないことを口走る。 「あ、ええと、荻上さん、どれ飲む?」 「え、あ、じゃ、じゃあ、私はこれを」 「あ、俺が注ごうか?」 「い、いえ、自分で注ぎますから」 ぎくしゃくとしながらも、確実に距離は縮まっている。 お互いを意識するあまり、会話は途切れ、ふと顔を上げれば目が合い、そしてまた黙り込む。 話を振ろうとすれば声が重なり、相手に譲ろうとすれば相手も譲る。 今だけしか味わえない、特別な空気。意識すればすぐに消える。 けれど、それは今、確かにそこにあった。 緩やかに流れる時が二人を優しく包んでいた。窓の外では夕日が空を染め上げている。 笹原と荻上、二人にとって特別な一日は、けれどまだ続いていくのであった。
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いくらハンターⅢ 【投稿日 2006/04/21】 カテゴリー-笹荻 ある日曜のこと、画材の買出しを終えて、日も暮れて帰宅した 荻上が郵便受けを見ると、寿司のテイクアウトチェーン、 小象寿司の広告が目に留まった。 『特選北海セット(サーモン・かに・いくら丼)』 『特選海鮮セット(マグロ・サーモン・イカ・かつおタタキ丼)』 『特選いくらセット(いくらが山盛り丼)』 ―全品、本日限り680円!!― 「特選いくらセット!?」 思わず声が出る荻上。しまったという表情で赤面するが 玄関に買って来た荷物を放り込むと、急ぎ足で最寄の小象寿司へ向かう。 どんどん暗くなる道を、時々通りかかる車のライトに照らされ 長い影を伸ばしながら、荻上は急いだ。 道の向こうに、小象寿司の窓の明かりが見える。 『間に合った………。』 荻上が店内に入ると、特選品の棚には海鮮セットの丼が2つと、 いなり寿司や、バラ売りの手巻き寿司が数本有るだけだった。 『いや、焦るな、言えば作ってくれるはず。それは知ってるべ。』 レジの前には、おばさんと青年が2人並び、逆サイドでは座って 待っている、孫を連れたお爺さんが居る。 荻上は、品切れになっていない事を祈りながら列に並ぶ。 その時、前の青年が順番になり、オーダーを告げた。 「あ、俺、特選イクラ丼を―――。」 「申し訳ありません、本日もう品切れとなっております。」 笑顔で答える、店員のお姉さん。モンゴル出身の横綱に似ている。 「え?じゃあ北海セットは?」 「大変申し訳ありません、そちらも品切れに―――。」 前の客よりも早く、店員の返答を最後まで聞かずに、 うっすら涙目で踵を返す荻上だった……。 帰り道、スーパーに寄ってみるが、こちらも閉店間際。 今日はいくらはもう無くなっていた。 仕方なく子持ちししゃもを買って帰るのだった。 翌週の土曜日、笹原とデートの荻上だが、脳内は既にディナーに飛んでいた。 『笹原さんのことだ、きっと「何が食べたい?」って訊いてくるはず! そしたら私は「回転寿司にしましょう」って答えるんだ……。 よし!「回転寿司にしましょう」「回転寿司にしましょう」うん! 返事のシミュレーションもばっちりだ、私!』 でれでれと歩く笹原の横では、目の中に炎を灯して歩く荻上の姿が見られた。 そして日も暮れて…。 「今日の晩御飯だけど、これから……。」 その台詞を待っていた荻上の目がギラリと光る。 『よし来た!「回転寿司にしましょう!」さーこい!』 「この先の、イタリア料理店予約してみたんだ。」 「かい…え?ええ~っ!?」 荻上は笹原の方を2度見してしまうほどの吃驚っぷりである。 「あれ?ダメだった、荻上さん(汗)?」 「え?いえ!……そ、そんなこと無いデスヨ!?」 「ひょっとして、嫌いだったかな?」 顔に縦線を浮かべながら冷や汗もたらしている笹原。 「違うんです、笹原さん。気のせいです、気のせい。」 そんな笹原を見て焦り気味の荻上。 「ただ、そんなお洒落っぽいお店を予約するのが意外だったというか――。」 「はは、そうだね、オタクが、俺がお洒落を気取っても駄目だよね………。」 思わず失言が飛び出した荻上と、どんどん落ち込んでいく笹原。 二人の空回りは、この日は修復不能であった。 食事はしたけどみかんは無しで別れる二人だった。 とはいえ、すぐに何事も無かったように、デレっとしたり感激したりする、 この時期の二人は翌週までには雨降って地固まる状態である。 翌週末の深夜、オンリーイベント向けの原稿のネームを切っている 荻上の部屋を訪ねる笹原の姿があった。 手にはコンビニのビニール袋が提げられている。差し入れのようだ。 「こんばんは~。荻上さん、差し入れ持って来たよ。」 「こんばんは、ありがとうございます。」 言葉は素っ気無いが、笹原の来訪が何よりの嬉しい差し入れだ といった様子が、嬉しそうな目元に表れている荻上だったが……。 差し入れの中には、苺の生クリームカステラ挟み260円と、 手巻き寿司(いくら)150円。 「あ!いくら巻き新発売ですか。今日からでしょうかねぇ。」 「うん、どうだろ…そうかもねぇ。」 いくらに過剰反応する荻上だった。 そしてそのまま包みを開き、オレンジの粒を確認すると海苔をスライドさせ ロール状の酢飯を巻いて行く。 「ありがとうございます。いただきます。」 笹原の方にぺこりと軽く会釈してからパクリと巻き寿司を いや、いくらを口に運ぶ荻上。 『………?』 嬉しそうに見守る笹原の視線を感じて、平静を装う荻上だったが 内心は、打ち寄せる波が高くなってきていた。 『いくらの味はどこ?あの粒々の感触はどこ!? ………くっ!酢飯の味しかしないっすよ、笹原サン!』 思わず笹原を恨みそうになる荻上だったが、愛しい人の姿が 目の端に留まって思い直す。 『いや、笹原さんは悪くない…。半端な物売りやがって!7-トゥエルブめ!!』 にこやかに食べ終わると、すぐにもう1品もぺろりと平らげ、 会話もそこそこに机に向かう荻上だった。 その様子に不審がる笹原だったが、原稿の邪魔はすまいと 横に積んであったハレガンを読み始めるのだった。 荻上は鉛筆を片手にネームを書こうと唸っていた。 『大事な人がすぐ近くに居るのに、満たされないこの気持ち……。 なんと人間とは業が深いものか。む!?これだ!』 何かテーマを思いついたようで、荻上の鉛筆が紙の上を走り始める。 『それにしても、いくら……求めれば求めるほど逃げていく……。 そんなに求めなくても食べれそうな物なのに、何故に―――。』 偶然に翻弄され、我が身の不運を嘆く荻上の夜は更けて行った。